宅建士とは

不動産取引の契約書には、「瑕疵」「用途地域」などといった法律用語、専門用語が多く含まれています。そのため、普通の人が一読しても意味が分かりづらい場合があります。ただ、大きな額が動く不動産取引において、その内容を確認せずに契約をしてしまうことは非常に危険です。

そこで活躍するのが宅建士です。 宅建士は不動産を売買する人に「契約書の中でも特に大事な部分(いわゆる重要事項)を説明する」という役割を担っています。

宅建士の重要な仕事

重要事項の説明

宅建業法では不動産の買主や借主に対し、宅建士に重要事項の説明をさせるようにしています。具体的には所有者が誰で、どのくらいの広さの不動産で、登記は誰名義で、キャンセルした場合にどうなるのかなどを説明することになります。

不動産取引にかかわる人が、実際にどのような不動産を取引するのかを明確にわかるようにするのです。

重要事項説明書面への記名と押印

重要事項は膨大な量がありますので、宅建士は重要事項の説明を記載した書面(重要事項説明書面)を作成し、記名・押印する必要があります。これは、その内容に対して責任を持つという意味なので宅建士にとっては非常に重要な仕事です。

37条書面(契約書面)への記名と押印

37条書面とは、契約後に「言った」「言わない」というトラブルを未然に防ぐために必要な、実際の契約内容を記載した重要な書面です。この契約書面にも宅建士は記名・押印する必要があります。

宅建士に必要な知識

宅建士試験では、不動産取引に関わる知識を中心に、民法や税法など契約書を読み解くうえで欠かせない法律知識を幅広く学習していきます。主な試験内容は以下のように定められています。

  • ・土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別
  • ・土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令
  • ・土地及び建物についての法令上の制限
  • ・宅地及び建物についての税に関する法令
  • ・宅地及び建物の需給に関する法令及び実務
  • ・宅地及び建物の価格の評定
  • ・宅地建物取引業法及び同法の関係法令

資格を取得するメリット

① 就職・転職・独立に有利!

不動産取引業を手がける企業では、従業員の5人に1人以上の割合で宅建士を置かなければならないと法律で定められています。そのため、宅建士の資格を持つ人材は不動産業をはじめ、企業からのニーズが高い人材だといえます。

さらに、企業にとって宅建士の有資格者は貴重な存在であるため、資格取得で手当がつくこともよくあります。

② 仕事に役立つ!

試験勉強を通して身につけた不動産に関する知識や一般的な法律の知識を仕事に活かすことができます。不動産業界はもちろんのこと、不動産関連セクションを持つ一般企業や、不動産を担保として融資を行う金融業、新規出店で不動産を扱う小売業など、広い範囲で宅建士の知識が役立ちます。

人によっては宅建士の専門知識を買われ、社内で部署異動を打診されたなどということもあるようです。資格の取得で仕事の幅をさらに広げることもできます。

③ 不動産購入を安心して行える

宅建資格を持っていれば、不動産取引の際の説明や契約書を理解できるため、契約の成立がスムーズに進むことになります。このような理解力を持っていれば不利な条件で契約を締結することを避けられます。

④ 次の資格へステップアップしやすい

宅建試験は他の法律系資格よりも比較的容易であるため、法律系資格の登竜門と呼ばれています。資格取得後には行政書士や司法書士、不動産系なら不動産鑑定士などの難関資格にステップアップすることができます。

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